劇中歌『帰ろう』についてと、1番の譜面

公演情報

ART SETOUCHI イベント 『風が吹いた、帰ろう』(9.23-24 サンポートホール高松第1小ホール)には、いくつも劇中歌があります。その一つで、劇の題名の一部にもなっている『帰ろう』。2014年の10月に初めて香川県の大島に訪問した直後から、なんかモヤモヤと浮かんできて、11月には形にしていました。まだ『風が吹いた、帰ろう』のプロットどころか、企画自体なにもない段階でした。

大島青松園での、準備に膨大な時間をかけた泊まりこみのワークショップ。
その体験から得たなにかを、形にしたくて必死でした。
で、誰にも内緒のまま、個人的なこととしてこっそりと、詞がうまれメロディがうまれました。

夕日が女木島に沈んで行く様子。
ただただ波を見ているしかない、時間の流れない浜辺。
風が吹いていて、その音を聞くことすら娯楽に思える、島の何もなさ。
夜の浜辺、遠い高松のあかり、反対側に行けば小豆島のあかり。
島の港を出て行く船に、いつまでも手を振り続けていた、車いすのおばあちゃん。

そういったことが、できあがった歌にはこもっていました。
誰かに見せたり聞かせたりするつもりは特になかったと思います。だって恥ずかしいじゃん。

大島は、高松港から官有船で20分ほどのところにある、ハンセン病の国立療養所の島です。

その後、『風が吹いた、帰ろう』という長編劇をつくる覚悟が決まりました。
ぼくが作詞・作曲した『帰ろう』も、翌春にはウチのカフェ公演の1作品として、公開に至りました。
こんな感じに↓。

ジェストダンス・ライブ(特別企画)
桃唄309が来年上演予定の、ハンセン病を題材にした長編劇。その構想を元にした、歌と新作ジェストダンスをお届けします。
振付 西山水木/明樹由佳 作詞・作曲 長谷基弘
出演 成本千枝/西山水木 歌 竹田まどか
ジェストダンス・ライブは、Aプログラムのおまけコーナーにてお届けいたします!

心の根っこからなんだかよくわからないものが湧いてきて、どうしようもなくなってこっそり言葉を書きとめ、密かにメロディをつくり、伴奏をつけた曲が、歌とダンスを得て、形になり、ついには人の目に触れました。
そして、このなんだかよくわからないものは、もう自分だけのものじゃなくなったと感じました。もちろんそれは、ひたすら「喜び」です。さびしさとかゼロ。

『風が吹いた、帰ろう』が座・高円寺1で初演される、1年以上前のことでした。もちろんこの段階でも、プロットは1行もありませんでした。

以下、1番の譜面。

全部で3番までありますが、今はひとまずここまで。

下、SoundCloudにいまアップした、1番の伴奏。いくつかの楽器、シンセの音を抜いた、簡略版です。
長めのイントロ(ダンスがあるので)の後、フルートでメロディを入れてあります。
実際の劇中では、もうちょっと伴奏が入り、フルートによるリードは入りません。
また、間奏に入ってちょっと進むと音がフェイドアウトします。
これもひとまずここまで。

イントロと間奏は、船が海を進むイメージ、もっと具体的に言うと、高松港と大島を結ぶ官有船の窓から、海を眺めているときのイメージでつくりました。
メロディは、波の形を意識してつくりました。あがったり、さがったり、あがりきったところで溜めがあり、そこから崩れていったり、さささーっと引いていったり。

で、そんな話は振付・踊り手・歌い手には言ってなかったにも関わらず、そういうニュアンスを表現に取り込んでいて、これもまた嬉しくも驚きました。

松花堂弁当のように楽しみどころがあちこちにあることを目指してつくったお芝居です。登場人物たちそれぞれの物語と共に、こういった歌やダンスも楽しんで頂けたらと思っています。ぼくらも稽古していて、このジェストダンスのシーンに辿り着くのを毎回楽しみにしています。

サンポートホール高松でお会いしましょう!

とある病気のいまとむかし
そしてふへんのあいについて

『風が吹いた、帰ろう』
2017年9月23日(土) – 24日(日)
サンポートホール高松 第1小ホール
2016年5月に座・高円寺1で上演した作品を、高松にて再度上演

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