戯曲をEPUBにするぞー。おー。
前回に引き続き、電子戯曲の値段算出方法の話。
現時点ではこうした、という報告。
前回の記事を書いた後、ぼくが思う値段の上がり方(作品規模が大きくなるにつれ、値段の上昇がゆるやかになっていく上がり方)が、対数の曲線だってことに気付いた。なんで前回気付かなかったんだ……。
対数の曲線というのは以下のグラフみたいなことね。
対数を使うと巻き貝みたいな形も計算でつくれるよ。そう、サザエやカタツムリのDNAは対数を熟知しているんだ。
いやまぁそれはどうでもいいんだけど、縦軸が値段、横軸が作品規模。
でもこのグラフ通りの上がり方だと、それはそれでよくない気も。小規模作品たちは値段の上がり方が急激すぎる。
なので試行錯誤した。
まずは「基礎価格」を求める。
根拠とする数字は5つ。台詞の数、台詞の文字数(全角半角関係無しに、文字数)、ト書きの文字数、登場人物数、上演時間(分)。
これをこのまま足さずに、こうした。
- 台詞の数 × 2 の平方根
- 台詞の文字数 × 2 の平方根
- ト書きの文字数 の平方根
- 登場人物数 の平方根
- 上演時間(分) の平方根
これらの合計値を求める。これを(A)とする。
次に、0.01を底とする(A)の対数を算出する。Log0.01 (A)。
これを(B)とする。
(A) × (B) を求め、一桁目を四捨五入したものを、「基礎価格」とする。
なんで台詞の文字数とかを2倍にするんだ、とか、なんで(A)×(B)なんだ、とかいうツッコミがあったら……許せ、試行錯誤の現在地点、というか。
上演時間(分)による基礎価格の推移をグラフにしてみた。下。対数曲線な感じ(笑)をわかりやすくするため、線も滲ませてみた。
ツールチップの字も映り込んじゃったけど、気にすんな。
上演時間が1分長くなることによる価格上昇の仕方が、上演時間が長いほどゆるやかになっていくようになった。自分が思う、こんなもんだよなー、という感じに。
ぼくはおおむねまんぞく。
でもまだ終わらないのだ。
ここからは前回と同じ。変数αと変数βを出版者が用意し、販売価格の最終計算をする。
αとβは、出版者や著者の、事情や感覚や製作費を反映させるための変数。
αは、基礎価格に乗算する値。基準値は1。基礎価格を見て、高ければ1より下げ、安ければ1より上げる。
βは、基礎価格に加算する値。基準値は0円。コストを回収その他の事情で乗っけたい額を設定。
基礎価格 × α + β = 販売価格
となる。どうだ! と言われても困ると思うけど。
これ、いちいち計算するのが面倒くさいので、まもなく公開する予定の、戯曲のテキストファイルからEPUB3ファイルをつくるサイト「Θέσπης(テスピス)」に搭載した。
EPUB作成時にメールアドレスを登録すると、自分が作成したEPUB戯曲の管理機能が利用できるようになるんだけど、そのなかに入れた。うわーい、便利。ぼくが、だけど……。
値段を決めるのって結構頭を悩ませる。ざっくりと、いい加減でもいいから「例えばこんな値段どう?」と妖精さんが提案してくれたらなぁ、それを参考にするのになぁ、という願い、自力でかなえたぜ。
おまけ
期間限定(たぶん1ヶ月くらい)で、Θέσπης(テスピス)で生成したぼくの短々編戯曲『渡し船』を配布してみます。
表紙ももちろん、Θέσπης内の表紙メーカーツールでつくったものです。
テキストファイルはこちら。
→ Θέσπης記法によるテキストファイル 長谷基弘『渡し船』
岸田國士『紙風船』のテキストファイルと合わせて、テキストファイルづくりの参考にしてもらえたらと思います。
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