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こないだの週末は福岡にいました。福岡県宇美町の「うみ・みらい館」という図書館で行われたワークショップのため。
土曜がワークショップ。日曜が本番で、『読み聞かせのうみ』と名付けられた朗読作品(というよりもインスタレーションというかサウンドスケープというか)の、発表会でした。
昨年末から始まった全7回のワークショップ。文化庁国語課の指導者養成事業として行われたものです。
参加者は宇美町で暮らす方々。私と同じくらいか、私よりも年上のお姉様方が中心です。
上の写真はその発表会の様子。クリックするとflickrのページに飛び、大きなサイズで見られます……が、顔は第三者が見ても誰が誰やらわからないくらい小さいです。(あえてそうしています。)
見ての通り、図書館をすべて使っての発表会。この日は蔵書点検日で、休館なのです。
発表会、というかワークショップを通して作り上げた「作品」はこんな感じ。
図書館を海に見立てます。海のあちこちで、波やあぶくのように、「図書館にある本」に書かれたことばがたゆたっている、という仕掛け。具体的には、ワークショップ参加者があちこちに散り、自分で選んだ本の特に「誰かに伝えたいフレーズ」まわりを読み上げています。
時にチームで読んだり、時にバラバラになって各自に読んでいたり。読む場所も、窓辺だったり、インターネットコーナーのあたりだったり、廊下だったり、本棚の狭間だったり、一番奥のお座敷だったり……。
観客は、小魚になってもらいます。で、最初に渡された「海図」をたよりに、館内を自由に泳ぎ回り、あちこちから聞こえてくることばに耳をすましてもらいます。
海図は下。

そして、心に響くことばがあれば、最初に渡された「おさかなカード」にそのことばを書き記してもらいます。
鑑賞の時間は15分間。時間が来ると、半鐘が優しく鳴ります。半鐘の写真は下。
半鐘が鳴ると、観客はロビーに移動します。そこには大きな台上にビニールテープで描かれた館内図があります。先ほど描いた「心に響いたことば」を書き記したカードを、聞こえた位置に置くと、「ことばの海図」のできあがり。一番上の写真の右下にちょこっとだけ写っています。
この「ことばの海図」が、館内各所で朗読をしていたワークショップ参加者へのフィードバックになっているという仕掛けです。
観客には事前に説明会があり、上に書いたようなことはおおむね説明してあります。
説明会のナビゲートは、ギンギラ太陽'sの俳優、こがきょ(古賀今日子)とたくじー(中村卓二)の2人に担当してもらいました。博多文化芸術振興財団でワークショップをやった際に知り合った2人。小学校でのワークショップ経験が豊富です。
今回の「観客」には宇美町の小学生がいっぱい来るので、2人に助っ人に来て貰った次第。
ちなみに説明会では、2人に考案してもらった「おさかな体操」を、観客にしてもらいました。子どもも大人も、2人の説明の勢いにノせられて、皆やっていました。
感想。
単純に、なんというか、素敵な空間ができあがったように思いました。個人的には、客で来たらかなり満足するか、ちくしょーやられた、という悔しさを味わったのではないかと思います。
ギンギラの2人のナビゲートもよかったのですが、観客の子どもたちは素直に、図書館内にたゆたうことばを楽しんでいたように見えました。始まる前騒いでいた子たちも一生懸命見て回っていたし。聞いた話では、なんだか感動して「ちょっと泣いた」子もいたらしいです。子どもはええのう。
大人の観客は、最初は戸惑いつつも、コンセプトがわかったとたん、結構楽しんでいただけたような。ですが、読み聞かせとはこういうもの、という固定観念の強い方は、自由に読む・自由に聞く、というスタイルに馴染んでいただけなかったかもしれません。でも少数ですよね、きっと。
15分は短い、という声も、大人の観客からあったようです。でも作った側から言うと、この15分という時間が絶妙なわけで。つまり「全部は聞けない」というのがミソ。どこからか聞こえていたけど、誰が読んでいたのかわからないことばがあったりするのが「いい」のではないかと思っています。全部をじっくり聞けると、それはそれで「飽き」がやってきそうですし。
さてさて。
今回の連続ワークショップでやったのは、読むテクニックの教授ではなく、徹底して、身体的なことばを発するにはどうすればよいか、の追求でした。上手に読む、のではなく、嘘なく読む、ことの追求というか。
通常の朗読のワークショップで、正しい息継ぎや正しいアクセント、読むスピードのコントロールなどを学ぶのも、もちろん悪いこととは思いません。それはそれで、本に書かれたことばを正確に伝えることの、一つの正しい方向性だと思います。
でも儂は演劇の人なので、読む人の身体、に徹底的にこだわりました。
どんなに「正しい読み方」をされても、読み手がそこにいる感じを確かに味わえなければ、儂にはことばが軽く響くし、不満も残ります。その人の身体が確かにそこにあり、その人の思いや生き方を通して、その人が選んだ本のことばが聞ける状態をつくろう、と。まぁ言うなれば俳優が台詞を発するのと、ちょっと似ています。
そんなわけで、7回のワークショップのうち前半はずっと、身体表現を中心とした演劇のワークショップをひたすらやりました。だんだんと「ことば」の扱い方にシフトして行ったのですが、最初は参加者も図書館の方も、一部戸惑ったようです。そりゃそうですよね、朗読のワークショップと思ってきてみたら、いきなり体操やらフローズンピクチャやらやらされたわけですし。(まぁノリノリで取り組んでおられた方多数ですが。)
でも最終的には、身体とことばが一致した状態で発せられる朗読作品をつくれたように思っています。
長くなりましたが、簡単な報告、以上で終わり。こまごま書きたいこともたくさんあるけれど、この辺で。
7回もやると情もうつります。また行きたいなぁ、宇美町。