「紫骸城事件」
著者・上遠野浩平
先日の日記で取り上げた「殺竜事件」の続編。
と言っても物語的に直接つながっているわけではなく、同じ世界でおきたまた別の事件の物語。
現代現実世界と平行して存在する別の世界。
科学の変わりに魔法が発達した世界で三百年前に世界を席巻した最強最悪の魔女「ビイアス・リ・カーズ」。
そのリ・カーズの建てた巨大な城塞「紫骸城」
魔女の呪いがいまだ残ると言われるその城は現代に於いて、魔法技術の最高峰を競う「限界魔導決定会」の会場となっていた。
魔導師ギルドと呼ばれる管理組合の主催で行われるその大会に母国のギルドにおける発言権拡大のため審査員として参加していた
「フロス・フローレイド」魔導大佐
は紫骸城に到着した直後に、前大会の優勝者ニーガス・アンガーの殺害事件に遭遇する。
だがそれは、さらに続く地獄のような大量死事件の幕開けでしかなかった。
フロスは人間の身の回りの世話をするロボット
擬人器「U2R]
と事件の解決に乗り出す。
収まらない被害。
あるいはそれは本当に魔女の呪いなのか?
同じく審査員として招かれていた七海連合の悪名高い双子の戦地調停師「ミラル・キラル」はどう動くのか?
果たしてフロスは事件を解決に導くことが出来るのか?
って感じのお話です。
前回も思いましたがあらすじまとめるのってすごいむつかしいですね。
まあ、それはおいといて。
本作は前作以上に人間の醜い部分が描かれています。
前作が世界を旅して回る話なら、本作は(広いとはいえ)城の中のみを舞台としたお話。
大会開催期間が終るまで城の外には出られないという極限状況の中だからこその人間の黒さが出ています。
前作の感想で、「魔法という現実とは違う物理法則」故に推理モノとして読み解くのはむつかしいみたいなことを書いたのですが、今回はやはり魔法が決め手でこそあるものの、大本のトリックというか、手口に思い至るまでの材料がかなりあちこちに伏線として提示されているので、勘の良い方は事件の仕組みに気づくかも知れないです。
で、本作にもまた七海連合の戦地調停師が出てきます。
弟キラストルと姉ミラロフィーダの双子の戦地調停師は「一つの紛争を終らせるためにそれまでの二倍の犠牲者を出させる」と呼ばれるほどエグい方法で調停をこなす人たちらしいので、本作の事件においてもその性格の悪さを存分に発揮してくれますが、悪名を憚らないミラル・キラルよりも、権力争いに溺れる人たちの方が醜く浅ましく映るのは後から思い返すとなかなか皮肉だなとか思ったり。
ちなみに今回も金子一馬氏のイラストがかっこいいです。
なんというか、断片的なイラストで(実像は個人で違うとはいえ)作品内世界の有様を用意に想像させられます。