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戯曲の書き方講座(5) – インデントで台詞の見栄えをよくする

戯曲の書き方講座、5回目になりました。

ちょっと間があいてしまいましたが。

前回は、台詞やト書きをタブを使い、デジタルデータとして整えつつ効率良く執筆していく方法について説明しました。

今回は、タブを使ってデータとして正しく書いた戯曲を、Wordなどできれいに表示するには、という話に入っていきます。

具体的には「インデント」についてです。

前回のおさらい

前回、タブを使った台詞の書き方を(例えばという但し書きをつけて)こう定義しました。

登場人物名+タブ(=区切り文字)+台詞本文+改行文字(=1つの台詞を区切る文字)

ちなみにト書きはこうです。

タブ+ト書き本文+改行文字(=1つのト書きを区切る文字)

もちろんこれは、絶対のルールではありません。デジタルデータとして整っていて、書きやすく読みやすければ、これ以外の書式もありだと思います。

タブを使った書き方の利点については、このシリーズで何度も説明していますので省略します。

さて、上の定義で書くと、長い台詞やト書きの見栄えがあまりよくありません。
例えばこうなります。

2015-0622_001

台詞はぜんぶ、同じ位置で揃えたいですよね。その方が見栄えもいいし、台本として読みやすいです。

ワープロの「インデント」を使いましょう。

インデントについて

インデントは、段落の字下げをする機能です。昔のタイプライターにも搭載(?)されていたくらい、ワープロソフトではポピュラーかつ必須の機能です。

「インデント」でウェブ検索すれば、いくらでも情報が出てくるように思います。
詳しいことは各自調べて頂くとして、ここでは台詞やト書きのインデントに特化して説明をしましょう。

大抵のワープロソフトの場合、インデント機能で例えば次のようなことができます。

  1. その段落の字下げ位置を指定できる
  2. その段落の1行目だけの字下げ位置を指定できる
  3. その段落の、2行目以降の字下げ位置を指定できる

2は、日本語の文章で、段落の最初は1文字あける時などに使います。作文の授業で、原稿用紙の使い方として習いませんでしたか? あれです。

3は、「ぶら下げインデント」とも呼ばれます。1行目はインデントなし、2行目以降は指定した文字数に字下げ、というレイアウトをつくれます。この「ぶら下げインデント」を使うと、台詞やト書きを整った見栄えにすることができます。

戯曲向けの、インデントの設定方法

以下、Wordの例にとり、ぶら下げインデントの設定方法を説明していきます。

設定範囲を選択する

まずは、インデントを指定したい範囲を選択します。
面倒でしたら、文書全体を選択しちゃいましょう。
キーボードからCTRL+Aを押すと、文書全体を選択できます。

段落単位での設定になるので、範囲選択せずとも、カーソルのある行のインデントを設定できます。

「段落」を選択する

次に、WindowsかMacで2ボタンマウスを使っているならば、右クリックをしてください。
Macで右クリックボタンがなければ、長押しもしくはControl+クリックです。

メニューがでてきますよね? その中の「段落」をクリックしてください。

インデントを設定する

Word2010だと、こんなウィンドウがでてきます。

2015-0622_002

「インデント」欄に注目してください。

「左」「右」の項は、左右のインデント幅の指定。
ページの余白位置を基準に、インデント幅を決めていきます。
ここは「0字」のままで良いでしょう。

「最初の行」「幅」の項は、1行目と2行目以降のインデント幅の指定。
「なし」「字下げ」「ぶら下げ」のいずれかのインデント方法を指定し、その幅を決めます。

台詞の場合は、2行目以降に影響を及ぼす「ぶら下げ」にします。
幅は、登場人物名の最大文字数に、欲しい余白を足した数字にすると良いでしょう。
最初に挙げた例だと、登場人物名は「男1」か「女1」。いずれも2文字。台詞本文までの間に2文字ぶんの余白が欲しいなぁと思ったら、2+2で4文字に設定します。

以下のようになります。

2015-0622_003

「OK」ボタンのクリックで、設定が反映されます。
こうなりました。

2015-0622_004

タブを使った書き方をし、インデントを設定することで、テキストデータとして整っている状態と、見栄えのよさを両立できました。

次回は「スタイル」について

でもまだ問題もあります。

今回の設定だと、ト書きの位置が台詞本文と揃ってしまいます。

それでも充分読みやすいと思うけど、もしかしたら台詞本文の位置と微妙に変えた方が、ト書きが読みやすくなるかも……。
場合によってはフォントを変えてもいいかも。台詞は明朝、ト書きはゴシックとか……。

そんな調整をしたい時、変えたい箇所をいちいち選択し設定していくのは、たいへん面倒です。書き手がすべき作業ではありません。

そこで、「スタイル」という機能を使います。
この機能こそが、ワープロソフトで文章を書く最大のメリットと言えると思います。

スタイルについては、「戯曲の書き方講座(2) – 見出しで構造を整える」でも少し触れました。
忘れていたら是非復習を。
戯曲の書き方講座(2) 」で説明したのは「見出し」スタイルの設定方法でした。

「見出し」というスタイルがあるなら、「台詞」や「ト書き」というスタイルがあってもいいと思いませんか?

次回は、その設定方法と、具体的な使い方について触れていきます。

ではまた。

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コメント

  1. 園田英樹 より:

    わかりやすかったです。ありがとうございます。

    • mhase より:

      ありがとうございます! なるべく簡潔な書き方を心がけ、アップ前にあちこちカットカットしましたが、まだまどろっこしいところがあるかもしれません……。