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奄美大島・宇検村の久志小中学校でやっているワークショップのプランなど

行きの羽田空港、機内より10月17~20日、奄美大島の宇検村を訪れていました。文部科学省の、コミュニケーション教育事業関係の演劇ワークショップのためです。同村で私のいるワークショップ団体がワークショップするのは、これで3年目です。

宇検村での文科省事業のワークショップ、初年度は、久志小中学校のみ実施でした。小中学校というのは、小学校と中学校が一体になっている学校のことです。児童・生徒数が少ないので。

去年は、久志小中学校、名柄小中学校、阿室小中学校での実施でした。

今年3年目は上に、田検小学校、田検中学校を加えた5校で行われます。村内全校です。1自治体での実施率100%です。

ちなみに上の写真は、行きの羽田空港の機内から撮った、働くおじさんの写真です。本文とは関係ありません。

で、10月18日・19日と、久志小中学校で、本年度2回目3回目のワークショップをやってきました。そのプランを紹介します。以下。

ある日の久志校の給食久志小中学校でワークショップをするのはこれで3年連続になります。対象は全校児童・生徒。新入生がいないので、毎年同じ児童・生徒達(卒業した子たちはいるけれど)。なので、演劇の一要素に絞って、より深く体験する内容のワークショップ・プログラムを開発しよう、ということになりました。あれこれ考えた結果、新学習指導要領にある「言語能力の向上」を視野に入れた、「言葉を発する」ことにこだわった全5回のプランを組みました。

ちなみに上の写真は、ある日の久志校の給食です。本文とは関係ありませんが、野菜が多くてヘルシーで、おいしかったです。宇検村の学校では、台風や豪雨で停電になったり孤立集落化すると、この牛乳が野菜ジュースなどに変わったりすることがあるそうです。

それはともかく、5回の流れはこうです

  1. 詩をつくり、パフォーマンスにする – カードゲーム式で3行の「わき水」に関する詩をつくる。→詩の各行を、身体表現にする。 →詩に描かれるわき水そのものの身体表現をつくる。 →身体表現と朗読を合体させたパフォーマンスをつくる。
  2. 朗読する(1) – 1で作った詩を題材として用いる。俳優による朗読を分析しつつ、プロミネンス、ポージングなどの概念を体験的に学び、どう読むかのプランを立ててから朗読する。
  3. 「教科書の森」をつくる(1) – 児童生徒によるグループ創作。児童生徒が各自の国語の教科書から、誰かに伝えたい言葉の書いてあるフレーズを引用してくる。その「フレーズを朗読する架空の木」のパフォーマンスをつくる。朗読は、2で体験した内容を参考にプランを立てる。→ワークショップのスペース内に、全グループを適宜配置し、同時に発表することで、「教科書に書いてある大切な言葉を発する森」のインスタレーションができあがる。見学者(この回では同校教諭陣)は森を散策し、心に響いた言葉を採取する(メモする)。
  4. 「教科書の森」をつくる(2) – 3の内容をブラッシュアップし、正式な発表とする。発表作品づくりにおいては、特に朗読部分の精度を、児童生徒自身の話し合いによって上げていく。
  5. 朗読する(2) – 各学年の国語の教科書を題材として用いる。2から4までの内容を、児童生徒自身がふりかえりつつ、言葉と身体の連携を重視した朗読を体験的に学ぶ。最終的には、より分析的な全体のふりかえりを行い、ワークショップの成果を日常生活へとつなげていく。

プランの概略は、 だいたいこんな感じです。(補足ですが、うちの団体では、ワークショップの「プラン」は全体の計画のこと、「プログラム」は各回の細かい内容のこと、という風に用語を使い分けています。)

2回目の内容は、専門的に見えるかもしれませんが、はい、意外と専門的なものになりました。が、当方は教える立場ではなく、指導する立場でもなく、あくまでもガイド役です。こんな感じの過程で進めました。主語=子供達で、ざっと書きます。読み飛ばしてもOKです。

朗読する →俳優の朗読を聞く →何が違うか分析する →まねして朗読してみる →分析のヒントとして、大ざっぱに音量・音程によるプロミネンスの概念を説明を聞く →3行の詩の各行から1つずつ「一番伝えたい言葉」を探す→それらの言葉を、音量もしくは音程によって強調する計画を立てる →朗読してみる →俳優が、子供達の立てた計画で読んでみるみる →自分たちの読み方と比較分析する →分析結果を反映させて朗読してみる →……つづく……

久志校前の焼内湾とこんな感じに、かなり細かくステップをわけ、子供達自身が考え話し合う、を徹底して進めていきました。結果的に、子供達も明らかに読み方の向上(特に、声に出して読むってことに対する姿勢について)が見られ、アーティスト側も本文を発揮できる、いい感じのワークショップができあがりました。子供とアーティストの相互作用が細かく起きるようにプログラムを組んだのが、功を奏したように思います。

ただ久志校の子供達は、いつものワークショップのときより頭をいっぱい使った分、ぐったりしていました。無理もない。

ちなみに上の写真は、久志小中前の船着き場で去年撮った、焼内湾の写真です。学校の前が、色鮮やかな魚(防波堤から丸見えです)がゆったり泳ぐ海。本文とは関係ありません。

3回目の「教科書の森」については、たぶん次回4回目をやった時に詳しく書くかもなので、今回は省略します。こちらも、子供達だけでなく、アーティスト側も本気を出さざるを得ない感じに、大変うまく行きました。

ばしゃ山村のあたりの海次回4回目は、学校開放の日と重なっていて、予定では見学者がそれなりに来るはず。大勢の人に、子供達が創作する過程も含めて、見て貰えたらなぁと思っています。平日昼間なので難しいかもしれないけれど……。

以上、久志校でやっているプランと、中身の紹介(ちょっとだけ)でした。

ちなみに上の写真は、帰り日に空港に向かう途中で一瞬立ち寄った、用安海岸ってところの海です。空港にかなり近い場所。奄美に着いた日は台風21号接近中でしたが、台風が去った後は快晴。晴れた日の奄美大島はとてもキレイでした。本文には関係ありません。